台湾台東に関わって40数年、その間に経験した楽しかったこと面白かったことびっくりしたことなど、現地の状況や日本との比較なども含めて紹介したいと思います。
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台湾との関わり

台湾に関わって四十年になる。
 初めて台湾を訪れたのは、大学一年生の春休みで、十八歳の時だった。そして、台湾で十九歳の春を迎えた。
台湾のことについては、中学でも高校でも何も教わらなかった。なぜ先生方が台湾について何も教えてくれなかったのか、今になって分かるような気がする。
 台湾は当時、中国を代表する国連の加盟国であり、蒋介石が実権を握る中華民国という国であったが、日本の歴史的なことや第二次世界大戦での日本の状況を考えると、とても複雑怪奇で教えることが出来なかったのだろうし、教えなくても良いと思っていたのかも知れない。
でも、初めて台湾に行って現地の人々と話をして、日本が五十年間も台湾を統治していたこと、すなわち台湾が日本の植民地であったことや、台湾の人々が日本に対してどんな思いを持っているのかが分かった。台湾に関する当時の私の知識はせいぜいこんな幼稚なものであった。
 世界の情勢はその後も刻々と変化し色々な状況が生まれ、政治のことについては私自身はもともと疎いために、自分自身がどういう立場でどういう意見を持ったらよいのかさえ分からないようなこともあったが、少なくとも台湾は私という日本人のそして日本の兄弟のような存在だと思っている。
そんな台湾に縁があって、台湾原住民の一種族であるヤミ族の調査で蘭嶼を訪れたのを皮切りに、タイワンザルの調査と研究をして、さらに台湾の哺乳動物の調査や原住民族の狩猟採集文化の記載をすることになって、気が付いた時には私の髪も真っ白になってしまった。
この四十年の間に、色々な人と知り合い友達になり、酒を酌み交わしながら色々な話をして、台湾の国語(漢語)も話せるようになり、さらには原住民の言葉にも興味を持って少しは理解できるようになった。
そして、私の人生の思い出の半分は台湾に関わることになってしまった。まるで私は、台湾を知るために生まれてきたような気さえする。
台湾に関わった日本統治時代の研究者の書籍や論文を読むたびに、更に台湾が好きになりそこに暮らす人々を愛おしくさえ思った。
私がタイワンザルの研究や台湾の哺乳動物の調査をする時に、惜しみもなく力を貸してくださった人達は、当時日本人より正確な日本語を話し日本をこよなく愛していた人々であった。私はその人達のお陰で、台湾の色々なことを学び人生観を広げ、色々なことを考える人間になっていった。
 しかし、当時の素晴らしい友は、この数年の内に次々と亡くなっていった。彼等の日本と日本人に対する思いは、私の胸を打ち想像を絶するような思いであった。
 彼等のためにも、そして日本人のためにも、何かを書き残しておかなければならないという思いが湧いてきたのは、今は無き私の友達の叫びと一致するように思う。
この世界には、目に見えない境界線が引かれ、国というものが存在し、それぞれの人々が国というものに規定され制限を受けている。歴史的に見ると、まるで子供だましのような国境線さえ伺える。同じ民族でありながら、同じ言葉を母国語として話しながら、国が異なるというのは当たり前のことのようでもある。適当に引かれた国境線で家族や親戚が離ればなれになってしまうこともある。
何十万年もの間、地球上で最も賢いとされる人間が行ってきたことが歴史として残されるが、その歴史を誇れる状況にはない。ほとんどが民俗や宗教や国益のもとに、人殺しをした歴史でしかない。
その点動物たちは正直である。それだけでも動物たちが魅力的に思える。
今、私たちは自然に学ばなければならない。人間より下等と思われている動植物に学ばなければならない時代が来ている。
自然をよく知る人々の意見を聞き、自然保護を考える時期が来ている。自然を知らない人々がどんな方策を企てても、微妙なバランスを持った自然を保護することは出来ない。そして、自然のバランスが大きく崩れた時、それは人間の歴史の終焉につながることであることを知って欲しい。
いま、地球は便利さや国益で動く時代ではない。宇宙船地球号の命運が掛かっている。これは映画だけの話ではなく、現実の問題であると認識しなければならないだろう。
人間という動物は、動物の中でも脳容量は一番大きく賢いと言われているが、今の時代においては、最も馬鹿で下等な動物だと思うのは私だけではないと確信する。
台湾の自然をこよなく愛した台湾原住民の私のかけがえのない友に代わって、台湾の自然だけでなくこの地球の素晴らしい自然を残すためにも、是非一人一人の人間がこの事について少しでも考えて欲しいと希望する次第である。

2007年4月 台湾台東にて
  
     
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[2011/11/05 02:08] | 台湾
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