台湾台東に関わって40数年、その間に経験した楽しかったこと面白かったことびっくりしたことなど、現地の状況や日本との比較なども含めて紹介したいと思います。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


「小説を読んで気が付いたこと」   2013.8.10
                                 
対象となる小説:
『路(ルウ)』吉田修一  文藝春秋  2011年11月20日 第一刷発行


<小説中の中国語の「かな」および「カタカナ」表記ルビについて>

 もともと外国語をカタカナ表記するのは難しいのですが、過去50年間日本の統治下にあった影響でかなり多くの日本語が外来語となっている台湾で、中国語や台湾語を表記するのはさらに難しいものです。
 中には、日本統治時代からの曰く因縁や歴史が染み込んでいる言葉もありますが、お構いなしに適当に日本語発音をしている旅行案内なども見受けられます。
 ルビはピンインで表せば絶対ですが、ピンインで書いても中国語を勉強していない日本人読者には正確な発音はできません。
 かろうじて残された道は、出来るだけ中国語や台湾語に近い発音のルビをふることです。そして、日本人に馴染みのある地名などはそのまま日本名でルビをふるほうが読みやすくなると思われます。

『路』では、「台湾語発音のルビ」「中国語発音のルビ」「日本語発音のルビ」の3種類をその難しさの割には良く考えて使い分けて表記されていると感心していましたが、途中からかなり気になる表記があったり全くの間違えだったり、表記の統一性があやふやだったりと、読みづらい部分も多々でてきました。
 以下にその箇所を記しておきますので、刷りましの時には訂正をしていただければと思います。

 *全部読んでみて、中国語の無気音と有気音に関しては、「無気音を濁音」そして「有気音を清音」でルビ表記しているように受け取れますが(P22 中華路夜市 ジョンホアルウイェシィP251 乾麺 ガンミェン、P294 公館 ゴンガン、)、、、、やはり統一性がありません(P82 台中 タイチョン、 P83 中山北路 チョンサン、、、)。

P39 敦化南路 トンファンナンルウ(誤)→トンファナンルウ(正)

   *ここは、もし有気音無気音のことを表すならば ドンファナンルウが 
    最も良いと思いますが、、、、、。敦→dun
   *さらに、林森北路は リンセンベイロウになりますが、、、。

 日本語には無気音有気音など無いのだから、適当で良いではないかと思われるかも知れませんが、日本語にも有気音と無気音の区別があって、使っている日本人が知らないだけです!

 例えば 開花 階下 の花と下は「か」と発音しますが、花は無気音の「か」で「下」は有気音の「か」(少し喉から音を出すような)なのです。詳しくは小生のブログ「Formosa(福爾摩莎)台湾/台東—40年—」の日本語と中国語をお読み下さい。
http://ohitoyoshi1948.blog.fc2.com/blog-category-23.html
    

P84 請到 ティンダオ(誤)→チィンダオ(正)
請→qing

   好 ホゥア(誤)→中国語なら ハオ、 台湾語なら ホー


P280 台北松山空港  しょうざん(誤) →まつやま(正)
   「松山」を「しょうざん」と言っている現地の人がいるのでしょうか?
   それとも何処かの台湾通と称する日本人がそう言ったのでしょうか?

   松山を「しょうざん」とは、、、??
   私は47年台湾を行き来していますが、初めて聞きました!

  中国語発音では「ションサン」(songshan)ですから、「しょうざん」は
  中国語発音に近いですね。


<台湾語発音の食べ物>
台湾庶民に親しまれている有名な食べ物は、台湾語で呼ばれることが多いです。

 この小説の中でも、「蚵仔煎、オアチェン」(カキのお好み焼き)や「肉圓、バーワン」(台湾風肉団子のようなもの)は台湾語発音です。

 P116「生煎包、ションジェンパオ」は、最近では色々なパターンのものがあって一概には言えませんが、本来の「生煎包」はどちらかというと日本の「お焼き」に近いものです。文中では、「普通の肉まん」と書いていますが、普通の肉まんは焼いたものではなく蒸したものです。
 「かわいい、かわいい」と日本人観光客の若い女の子が言っているとあるので、屋台で作っているまだ焼いていない生のものを指しているのだと思いますが(見方によっては可愛く見える)、肉まんは「包子」とか「肉包」と言ってあくまでも蒸したものですから、台湾人からみても「生煎包」は「普通の肉まん」ではありません。

<気になった風景描写>

 小説の中で一貫して樹木は「ガジュマル」、畑は「グアバ」のようで、台湾中がそんな風景に見えるように感じましたが、台湾も結構植物には恵まれていて、街路樹にはクスノキ、インドゴムノキ、フウ、小葉欖仁、モモナマナなどいろいろあります。

 畑もグアバだけではなく、モッカ(パパイヤ)、バナナ、シャカトウ、トウモロコシ、サツマイモ、キンマなどなど、、、、。

 P440 「椰子の原生林」とありますが、ヤシの原生林が残っているところは台湾にはありません。日本でも、沖縄の離島「石垣島」や「西表」くらいでしょう。台湾新幹線が走る沿線のヤシは全て植林によるものです。
 
 P440 「用水路を攪拌する水車」とありますが、用水路ではなく「養殖池」です。用水路を攪拌して何をするのでしょうか?


作者と出版社へ;

私達読者はお金を払って本を買って読んでいます。
私は理系人間ですが、自分の仕事には責任を持ってやってきました。
どんな職業でも、ミスは決してしてはなりませんし、皆それぞれ一生懸命に日々努力しています。
そうはいうものの、確かにどんな人間にもミスはつきものですが、
もしそれが判明した時にどういう態度を取るのかが問題です。

私は自分自身日本語が出来ないので、小説家を尊敬してきました。
しかし、ある時有る有名小説家の文中の物理的な不具合を発見して周りの人にその事を言いましたが、皆そんなこと見つけても何もならないでしょう?と言われ愕然としました。

政治家でも発言ミスは頭を下げて訂正します。
新幹線の設計ミスは、人命に関わるかも知れません。
なぜ小説家や出版社だけがミスを許されるのか?

それとも、私が指摘していることはミスにはならない、、、
ちょっとした愛嬌で済むことなのでしょうか?

もしそうなら、愛嬌だらけの本はもっと安く売って下さい!
昔の本はこのようなことはとても少なかったように思います。

はっきりミスだと分かっていることですから、
後は大人としてきちんと始末を付けて欲しいと思います。
 
台湾とは長い付き合いだったので、その分期待して読んだ本でしたが、
ちょっと残念でした。
 
スポンサーサイト

[2013/08/22 13:15] | 雑記帳
トラックバック:(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。