台湾台東に関わって40数年、その間に経験した楽しかったこと面白かったことびっくりしたことなど、現地の状況や日本との比較なども含めて紹介したいと思います。
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台湾と日本の動物たち

 台湾には台湾だけにしかいない台湾特産種である動物が沢山いる。
 タイワンザル、センザンコウ、絶滅したとされるウンピョウやタイワンカワウソなど。 さらに、野生ではもう見ることのできなくなったタイワンハナシカ(台湾花鹿、ニホンジカとかなり近縁な種)は、緑島などで飼育されて何とか種を保っている。
 馬ほどの大きさがあるスイロク(水鹿)も数がめっきり減ってしまい、野生ではなかなか見ることが出来なくなった。ある時知本温泉の昔のバス停近くの食堂で、食堂の主人が「台湾の鹿を見たこと有るか?」と聞くので、是非見たいという事で見せて貰った。
 食堂の裏手にある飼育小屋に連れて行ってくれたのだが、中を見ても何もいないように思えたので、
 「どこにいるのですか?」と聞くと、私の頭の上を指差した。上を見ると本当に馬ほどもある大きな鹿にびっくりした。
 このスイロクは南方系の鹿であるからもちろん日本にはいないが、フィリピン、インド、スリランカ、インドネシア、中国などに生息している。日本では、広島市の安佐動物公園でしか見ることが出来ない。

 そうかと思うと、台湾には世界でも一番小さな鹿であるキョンもいる。和名ではタイワンホエジカと言われていて、大きさは中型の柴犬くらい。オスには角の他に牙まである。日本では移入されたキョンが房総半島や伊豆半島に野生化しているようだ。八丈島の動物園のキョンも結構有名である。キョンの肉は柔らかくて結構美味しい(私は最高に美味しいと思う)ので、かなり乱獲されていて数も少なくなっている。
 日本のニホンジカやエゾシカの肉もとても美味しいので、鹿肉はやはりどんな鹿でも美味しいのだろう。でも、ヨーロッパのように焼いて食べたら、大して美味しくなくなる。何と言っても、鹿肉は刺身が一番である。一度私の姪に、何も言わずに食べさせたら、何マグロの肉だ?と聞かれたことがあった。
 日本にはシカの亜種がとても多い。

台湾にいるウシ科の動物は、台湾カモシカただ一種であるが、これはニホンカモシカの台湾亜種である。日本にもウシ科の動物は、ニホンカモシカしかいない。日本では天然記念物として徹底的に保護しているために、カモシカが異常繁殖して山の植物や植林した苗木やさらには貴重な植物まで食べ荒らして、さらなる問題を引き起こしている。
しかし台湾ではそのような話は聞かない。

台湾にいる猪(いのしし)は「山猪(サンツー)、野猪(イエツー)」(やまぶた)と言われていて、日本にいるニホンイノシシの台湾亜種である。日本でもそうだが、台湾でも畑を荒らす動物として毛嫌いされている。山奥の食堂などでは、このタイワンイノシシを食べることができる。イノシシが食べている植物のせいなのか、日本のイノシシよりも肉は癖が無く美味しい。
日本では、イノシシと豚の交配種であるイノブタを飼育して、その肉を牡丹鍋などにして食べる習慣があるが、イノブタはあくまでイノブタであって、野生のイノシシ肉とはかなり違う。

 犬や猫の仲間は、最近ネコ目と言われるようになったが、昔は食肉目と言ったものである。ネコ目というと、イヌもその中に入るのでイヌが好きな人には納得がいかないかも知れない。分類の中では、上位の方が何となく偉いような気がしてしまうものである。
ネコ目の中にネコ科があるのは誰でも分かることだが、ネコ目の中にクマ科があるとなると、ちょっとただ事ではないような気がする。
日本には、ツキノワグマとヒグマがいる。ヒグマは昔は温暖な地にもいたようだが、今では北海道から北の地に生息し、ハイイログマ(グリズリー)が最も日本人にも馴染みがある名前である。
ニホンツキノワグマは、東アジアに住むアジアクロクマの亜種で、台湾にいるクマもこのアジアクロクマの台湾亜種であり、名前もタイワンツキノワグマと言うから、ニホンのクマと台湾のクマは兄弟のようなものであろう。この点では、ニホンザルとタイワンザルといささか同じ状況にある。日本のクマ肉は何度も食べたことがあるが、それほど美味しいと思ったことはない。残念ながら、タイワンのクマ肉は食したことがない。

ネコ目ネコ科の動物は、ニホンではイリオモテヤマネコとヤマネコ(ベンガルヤマネコ)の亜種であるツシマヤマネコがいるが、イリオモテヤマネコはかなり原始的な特徴を持っているネコで、国の特別天然記念物に指定されている。
 台湾にいるネコ科の動物は、チュウゴクベンガルヤマネコ(石猫、セキコ、山猫)と、例のタイワンウンピョウであるが、ウンピョウは既に絶滅したとされている。

タイワンには日本にはいないジャコウネコ科の動物が三種類いる。カニクイマングース、タイワンハクビシン、タイワンジャコウネコである。
 カニクイマングースは、台湾北部の平地から1000m位の所に住んでいて、昼間は渓流付近に掘った穴で暮らし、朝夕にカエルや淡水の蟹類を食べる。時には、鳥や魚も食べる。
タイワンハクビシンは、日本でもかなり有名な動物となった。白鼻心(パイピ−シン)の名前の通り、鼻筋が白く一見可愛い顔をしているがかなりどう猛な動物で、小さい頃から飼い慣らさない限り危険である。箱根天照山でニホンザルの調査観察をしていた頃、地元のミカン畑が良く荒らされてサルのせいにされていたが、ムササビやハクビシンの仕業であったことも良くあった。
ジャコウネコは台湾や中国に生息するが、名前の通り、メス・オス共に生殖器の周辺に麝香腺があり、悪臭のある分泌液を放つ。普段は、昆虫や蛙、鳥の卵、家禽などを食す。

 タイワンにはイヌ科の野生動物はいない。日本には、絶滅したニホンオオカミやエゾオオカミ、最近都心にもよく現れるタヌキ(北海道のものはエゾタヌキ)やアカギツネの亜種のホンドギツネやエゾギツネなどがいる。 秩父に皆で集まる山の家があり、色々な人が色々な食材を持ち込んでくるが、確か正丸峠あたりで車にぶつかって死んだタヌキを持ち込んだ仲間がいた。囲炉裏であぶって肉を食べたことがあるが、とにかく狸臭い。車にぶつかったときに膀胱が破裂してその尿が肉にも廻ってしまったのかも知れないが、とにかく自分の尿までも二日間くらいタヌキ臭いのである。こんな話は以前にも聞いてはいたが、いざ自分自身が当事者になると何とも情けないものだ。しかし、一週間もすれば臭いはなくなり元に戻る。

イタチの仲間は台湾では四種だが、日本には何と一〇種類もいる。しかし、日本にいる一〇種類というのは、ニホンカワウソ、コエゾイタチ(イイズナ)、エゾイタチ(エゾオコジョ)、オコジョ(ホンドオコジョ)、オオシマイタチ、コイタチ、チョウセンイタチ、クロテン(エゾテン)、ニホンテン、ツシマテンで、このうちのチョウセンイタチは移入種である。
台湾に生息するイタチの仲間は、タイワンキエリテン、タイワンカワウソ、タイワンイタチアナグマ、タイワンイタチであるが、日本と同じようにタイワンカワウソは台湾本島では既に絶滅したと思われている。だが、金門島にはまだカワウソが居て確認されている。しかし、金門島のカワウソはチュウゴクカワウソで別種である。なお、台湾でイタチの仲間に野外で出会うことはたいへん稀である。

 台湾では、ちょっと山に入るとリスをよく見かける。リスの仲間にはリスは勿論のこと、モモンガやムササビも入る。日本の各地でリスが多くなって困っている地域があるが、これは殆どが移入されたタイワンリス(ハイバラタイワンリス)である。
 日本のリスの仲間は亜種を数えなければ、キタリス、シベリアシマリス、モモンガ、タイリクモモンガ、ムササビの五種であるが、タイワンには七種類いる。
リスの仲間であるムササビは、タイワンではカオジロムササビとオオアカムササビがいるが、身体の白いカオジロムササビの方が肉は美味しい。リスの肉も不味くはないが、毛を火であぶってぶつ切りにしてスープにして食べるという方法では、本当の味は分からない。
 ある時、伊豆大島のリス園に行ったことがあったが、入園者を見ると近づいて来るリス達が、私を見ると皆逃げ回るのに驚いた。リスも私がリスを食料として見ていることに気が付いたのだろうか?
特に台東の南部のパイワン族の村では、オオアカムササビの肉を腐る寸前まで置いておき、スープにして食べる習慣がある。その時は、鼻を摘んでもとても食べられなかった。
ウサギは日本には数多くいるが、台湾にはタイワンノウサギの一種類である。日本で食べたウサギ肉は、肉に血が廻ってしまっていたせいか、レバーのような味がしたが、本当はもっと美味しいのだろう。
 タイワンノウサギは、台東の小馬の海岸で見つけたことがあったが、捕まえることはできなかった。一度、タイワンノウサギを食べるチャンスがあったのだが、その野ウサギを育てていたアミ族のヒロシが、私に食べさせてくれる前に若くして死んでしまった。彼からは、アカモズのトラップや鳥の「たも網捕獲方法」などについて色々と聞きたいことが山ほどあったのだが…残念であった。

その他ネズミやモグラ、コウモリなど色々な動物がいるが、このくらいにしておこう。

なお、台湾の動物と日本の動物についてのリストを参考までに示しておきたいと思う。このリストは筆者がまとめたので、色々と間違いやら不具合な点があるかも知れないが、気がつかれた方には色々とご教示願いたいと思う。

世日台哺乳類比較
台湾哺乳類リスト

また、私がこのような動物のリストを作って感じたのだが、一八世紀初頭にリンネによって体系化されてきた動物の種のリストは、二十一世紀になってもはっきりしない点が多く、もどかしいことである。もともと自然というものは、我々人間の浅はかな知恵ではどうにもならないものだと言うことなのだろう。
それでも、今のリンネの分類学を否定するものではないし、むしろ色々な点で役に立っていることは認められるが、自然や生物の奥深さを改めて感じた次第である。
物事を分けるという作業において、その中間的な生物の存在をどう位置づけたらよいのかという点が難しいのである。
その解決方法として、今では発生学的な分類や、DNA分析のようなことも行われてはいるが、そんな分け方で良いものかどうかも疑問である。
最後に行き着いたのは、分ける必要があるのかどうかという疑問である。人間として、一つの生物として、その環境の中にいる動物植物をごく自然にそのままの形で受け入れるという考え方もあって良いのではないかと思う。
きっと、昔の人間達はそうして自然と付き合ってきたのではないだろうか。
 生物を分類をすると、大自然からその生物を抜き出してしまい、ただその細かな相違点だけが強調されて、大自然の中にいたということを忘れてしまうことがある。
昔の人々は、一見自分の生活には関係なさそうな生物や植物でさえも、大きな自然の中での役割やその生物が巡り巡って他の生物と関係し、自分の生活にも少なからず関わっているということを、経験や感覚で理解していたと思える。
 高等学校では、生物の選択生に環境や食物連鎖などを含めた生態系を教えるが、モンシロチョウとアゲハチョウの区別も知らず、カブトムシとクワガタムシの違いも分からない生徒に、一体何が分かるだろうか? 小さな子供の時から、常に自然に親しむような環境や教育が必要なのではないだろうか?

 とにかく、空気も水も決してただで手に入るものではないという事をまず知る必要がある。そして、私たちは決して、自然に対しての畏敬の念を忘れてはならないと思う。

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[2011/11/02 22:49] | 動物・蝶・昆虫
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